●イルクーツク:首都モスクワからはシベリア鉄道で繋がっており、ロシア極東地域とウラル・中央アジアを繋ぐシベリア東部の工商および交通の要衝である。ロシア正教会の大主教座が置かれ、劇場、オペラ座などの文化施設も充実する。これらの公共建築にはシベリアに抑留された日本人によって建てられたものも多い。しかし、現在では在留邦人は僅少。また、「シベリアのパリ」と呼ばれることもある。イルクーツク市は1967年3月20日以来、石川県金沢市と姉妹都市協定を結んでいる。そのため、市内には「金沢通り」という名前(ロシア語と日本語表記とが看板で併記)の通りがある。
●クラスノヤルスク:歴史的建築も多い。最古の建築はポクロフスキー聖堂で、その他、ブラゴヴェシェンスキー聖堂、スヴャト=トロイツキー聖堂、前駆授洗イオアン聖堂がある。最新の聖堂は、ミハイル聖堂。
カラウルナヤの丘の上にはかつては先住民の聖地があったが、クラスノヤルスク要塞の見張り塔がその位置を取って代わった聖パラスケバ聖堂は今も建つ。この聖堂は、エニセイ川の橋および水力発電所とともに10ルーブル紙幣にも描かれている、クラスノヤルスクのランドマーク的存在である。
クラスノヤルスクでエニセイ川を渡るシベリア鉄道の橋は1893年から1896年にかけて建設された。当時は世界最長級の橋で、ラヴル・プロスクリャコフにより設計されている。彼はこの橋の建設に先立ち、モデルをパリの博覧会に出展し金メダルを受賞している。このトラス橋は世界遺産の暫定リストに掲載されており、革新的な技術を実地に適用し多くの追随例を生んだことを評価されている
●オムスク:オムスク・ドラマ劇場は、安部公房作の「砂の女」を上演、ロシアでもっとも権威のある「黄金のマスク」賞を受賞していることで有名。また、三谷幸喜の「笑の大学」をロシアで初演したのもこの劇場だが、他に第5劇場、人形劇場、音楽劇場、青少年劇場もある。
市内にあるプーシキン図書館の蔵書量は、シベリア最大を誇る。都市が開放されてからは日本とのつながりも深く、多くの日本の劇団や演劇人が訪れ、オムスク大学では毎年、日露演劇会議との連携で単位認定の「日本文化講座」が開講されるなど、日本との関係はきわめて良好。
夏には、イルテッシュ川のクルージングが楽しめ、地ビールの「シベリアの王冠」は、ロシア・ビールの逸品。
街並みで見どころとなるのは、リュビンスキー大通りとレーニン通りに建ち並ぶ豪華な建築群である。二つの礼拝堂に挟まれたゴスチヌィ・ドヴォールが中心となるほか、取引所とドラマ劇場が並んでいる。これらはすべて19世紀末から20世紀初頭の建築である。近くの通りには、同時期に建てられた保険会社・信託会社・銀行などが入っていた瀟洒なビルが立ち並ぶ。川の合流点には、18世紀のクレムリがひっそりと建つ。ニコルスキー大通り周辺には木造の商家が今も残る。その先にはコサックが発注し19世紀のロシア有数の建築家ヴァシーリー・スターソフが設計して1840年に完成した新古典主義建築の聖ニコライ聖堂があり、コサックの様々な文化財をおさめている。
オムスク最大の聖堂は生神女就寝大聖堂で、ロシア・リバイバル様式の五つのねぎぼうず型ドームのある巨大な聖堂である。ソ連時代に爆破解体されたが、2000年代にようやく再建された。
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