極東の産業構成で主導的なものは鉱工業である。ロシア全体の工業生産高に対する同地域工業部門の割合は4.3%で、そのうち資源採掘加工部門は7.6%に上る。国全体の産業における極東管区の産業部門の比重は、食品加工 8.8%、建築資材 8.8%、森林加工・製紙パルプ 8%、電力 4.5%、工作機械・金属加工 3%、燃料 2.7%、非金属 1.6%、化学・石油化学 1.2%、軽工業 1.2%、鉄鋼 1.1%となっている。

　同管区の主要な産業部門は食品産業であり、うち漁業部門が最も盛んである。同地域は漁獲高でロシア経済地域中第1位を保っている。魚類・海洋動物の捕獲が実施されているのは主にオホーツク海、ベーリング海、日本海など。魚加工業の中心地はペトロパヴロフスク・カムチャツキー、ウスチ=カムチャツク、オホーツク、ナホトカ、南クリリスク、ニコラエフスク・ナ・アムーレ等がある。ペトロパヴロフスク・カムチャツキーおよびコムソモルスク・ナ・アムーレでは大規模な冷凍食品コンビナートが建設されている。カムチャッカ南部・西部およびクリル諸島の周辺海域ではカニ漁も盛んだ。極東地域のカニ缶詰製造はロシアのみならず世界市場でも広く知られている。捕獲漁の対象となる海洋動物はセイウチ、アザラシ、オットセイなどがある。海藻、タコ類、ナマコ、エビ、イカ類、貝類なども捕獲されている。

　極東地域はかなり希少な天然資源が豊富である。同地域には相当量の伝統的資源埋蔵量が見込まれており、ロシア国内でも上位にランクされている。主な鉱物資源としてはアンチモン・ホウ素・錫（全ロシア資源の95%）、ホタル石・水銀（同～60%）、タングステン（同約24%）、鉄鉱石（同8～10%）、鉛、天然硫黄、リン灰石などがある。サハ共和国北西部には世界有数のダイヤモンド採掘地域があり、ロシアのダイヤモンド埋蔵量の80%以上が「ミール」「アイハル」「ウダチノエ」等のダイヤモンド鉱山に集中している。